『日本史の謎は「地形」で解ける 環境・民族編』 竹村 公太郎
この本は、『日本史の謎は「地形」で解ける』の第三作目です。
今回は文明・環境編ということで、
農作物、インフラ、城、堤防、寺院、街といったことに焦点を当てています。
過去二作と同じように、それぞれの事象に対して斬新な考えがたくさん述べられており、
正直「ん?」と思う事もありますが、きちんとした、論理的な説明によって、最終的には納得できるように書かれています。
例えば、
「21世紀を生きぬくため、日本の人口減少は喜ぶべき」
と書かれていました。
これは一般的に考えられている、「出生率をあげて人口増加を目指す」考えとは正反対で、
どこか違和感を感じました。
しかし、その理由には
「食糧危機になる将来に人口が多いと不利になる」
「戦後日本が世界に戦いを挑んだ人口は7000万人」
というのが、主な理由でした。
確かに、人口減少に伴う、日本の存在感の減少などもあると思いますが、
有利な点もあるのでしょう。
他にも、
「江戸時代、参勤交代は情報発信システムで、それにより、言語が統一され、東京が豊かになり、日本が一つになっていた」
ということも書かれていました。
日本のよう縦に長い国は放っておくと別々の国ができるのが普通ですが、
「参勤交代」のおかげで江戸の情報が基本となり、日本を一つにまとめていたという考えです。
ちなみに「参勤交代」によって豊かになった江戸ですが、
これを現代に置き換えると、「地方からくる大学生」とよって豊かになった東京になるそうです。